FISH FOR SUPPER
FISH FOR SUPPER 1976
[物語、絵:M.B.ゴフスタイン]
おさかなごはん 2024
[絵:M.B.ゴフスタイン 訳:トンカチ]
静かで強い、おばあちゃんの毎日。
誰もが歳をとり、誰もが食べて眠り、出かけて戻る。
たんたんと、普通にしっかり生きている、私のおばあちゃんのパーフェクトな日々。
発表からほぼ半世紀を経て、全く色褪せないM.B.ゴフスタインの傑作。新訳にて待望の復刊。
この本について
伝説的絵本作家、M. B. ゴフスタインが1976年に出版した『FISH FOR SUPPER』(原題)が新訳・新装版にて『おさかなごはん』として待望の復刊。
ゴフスタインの絵はシンプルな線でありながらも、決して情報量を失わず感情にあふれている。私たちはページをめくるたびに、湖に浮かんだ船のように心が揺さぶられるのだ。おばあちゃんと私たちは同じ風景の同じ時間の中に漂っている。
この本には現代的なテーマが多く含まれている。エコロジカルでサステナブルな生活、心の余裕と規律、いつまでも楽しんで生きること、そして老い。1976年の初版時より大きくせり上がってきたこれらのテーマに、おばあちゃんの生活は静かな示唆を与えてくれる。
『おさかなごはん』は、ただの児童書ではない。むしろ、大人が自分の人生を振り返り、未来を想い描くための指南書である。M.Bゴフスタインがなぜ、孤高の伝説的絵本作家であると言われるのか、それは『おさかなごはん』を1枚めくればわかるはずだ。
よみもの
『おさかなごはん』について、そしてAI。
私がおばあちゃんになったら、どんなおばあちゃんになっているのだろう。
何に興味をもち、何をおいしいと感じ、何がキレイに見えるのだろう。そして絶好調とは言えない体と付き合いながら、毎日をどう過ごしているのだろう。
今のように、人の行動を気にしたり、自分が他人からどう見えるかとか、損だと得だとかお金のこととか、そんなことばかり気にしているはずはないよね。
そんなんだったら嫌だもの。
M. B. ゴフスタインの1976年作『おさかなごはん』(原題:Fish for Supper)は、一人のおばあちゃんが、朝起きて、釣りにいって、食べて寝る、その繰り返しの日々を描いている。大きな事件は何も起こらない。けれど、退屈しているそぶりもなく、一人暮らしの老人という「孤独の影」もない。おばあちゃんの頭の上の太陽は、暗い影をつくらない。